- 32.室内温水プールに亜鉛めっき鋼を使用したときの耐久性は?開く
結論としては大丈夫です。私達が追跡調査した実例の一つを次にご紹介します。
調査対象 青森県総合運動公園屋内プール
(所管 財団法人 青森県スポーツ振興事業団)調査日 1999年6月10日 施設供用開始 1976年 主梁とラティス部について、亜鉛めっき皮膜の残存量を測定した結果が次の表です。測定は膜厚計でμm単位で表示されますので、表では膜厚の測定値と平均値および平均値に対応する平米当りの亜鉛皮膜重量(g/m2)への換算値を示してあります。
主梁板厚=9mm ラティス板厚=5mm
測定位置 南側東寄り 南側中央 南側西寄り 北側東寄り 測定回数 主梁 ラティス 主梁 ラティス 主梁 ラティス 主梁 ラティス 1 154 122 229 116 169 127 157 117 2 150 120 212 114 162 140 157 92 3 155 112 200 107 153 130 153 101 4 154 116 174 128 142 136 145 95 5 157 125 195 115 147 146 143 91 平均膜厚(μm) 154.0 119.0 202.0 116.0 154.6 135.8 151.0 99.2 重量換算(g/m2) 1109 857 1454 835 1113 978 1087 714 建設当初の膜厚測定値が残っていないため、23年間で亜鉛めっき皮膜がどの程度消耗したかは残念ながら不明です。しかし例えば主梁については平均151~202μmすなわち1,087~1,454g/m2の亜鉛が残存していることから見ると、腐食による減量は僅かであり、今後とも数十年の寿命が期待されます。
ラティスは平均値が99.2~119μm(714~857g/m2)で主梁に比べると小さい値ですが、これは板厚が5mmであることを考慮すれば、製造直後に見られる通常の値とほとんど差がありません。
以上のことからも、これら亜鉛めっき鋼材の耐久性に関しては、製造後23年経過した現在でも全く問題はないと言ってよいでしょう。