- 25.亜鉛めっき表面に塗装はできる?開く
亜鉛めっきはその防食機構からも裸のまま使用することが原則的な使い方です。しかし腐食環境の厳しいところではめっき上に塗装することが耐久性をより高める点で効果的な方法といえます。
めっきした亜鉛の側からは、表面に塗膜があるために水などからシールされて腐食の進行が遅くなり、また塗膜の側からは亜鉛の腐食が遅く、かつ腐食生成物が緻密であることから下地の痛みが少ないことになります。
このお互いの相乗効果のために、亜鉛めっき上に塗装した場合の寿命は、”亜鉛めっきだけの耐用年数”と”塗膜だけの耐用年数”の合計の1.6~2.3倍が期待されるとの研究報告があります。このため特に長期の防せいを必要とする場合には有利な方法です。亜鉛めっき面上の塗装系の選択については以下を参照して下さい。1. 亜鉛めっき面に塗装する目的をまとめると次の通りです。
(1) 環境美化および安全対策としての塗装
(2) 厳しい腐食環境での耐久性の保持
(3) 補修困難な構造物などへの耐久性の付与
(4) 亜鉛めっき鋼の補修塗装2. 亜鉛めっき面に塗装した時の耐食性
亜鉛は活性の高い金属なので、鉄素地と同じ要領で塗装をすると、亜鉛と塗料成分が反応して塗膜剥離などの事故を起こすことがあります。
しかし適切な塗装系を選択してめっき面上に塗装した場合、下の表に見られるように鋼構造物の耐久性は亜鉛めっきのみの場合の寿命に塗膜の寿命を加えた値の、ほぼ2倍に相当するとされています。下表で”二重防食”は”亜鉛めっき+塗装”を意味しています。亜鉛めっき上に塗装した時の耐用年数(単位:年)
亜鉛付着量 田園地帯 海洋 工業地帯 g/m2 めっきのみ 二重防食 めっきのみ 二重防食 めっきのみ 二重防食 107~229 4~15 10~25 2~11 7~24 1~4 5~15 305~488 18~37 35~50 13~28 25~46 5~6 12~30 488~763 35~60 45~70 28~40 37~60 15~21 20~32 3. 亜鉛めっき面への塗装仕様
前述のように亜鉛は活性の高い金属であり、塗料を選ぶ必要があります。油性系、アルキッド系のものは避けた方がよいでしょう。常乾型塗料の中で最も密着性の良いものはエポキシ系と塩化ゴム系であり、焼付型粉体塗料ではエポキシ系、アクリル系とも完全な密着性を示します。
亜鉛めっき面への塗装の実例としては次のようなものがあります。新設亜鉛めっき面への塗装仕様 既設劣化亜鉛めっき面の塗装仕様 工程 塩化ゴム系
樹脂塗料ポリウレタン
樹脂塗料塩化ゴム系
樹脂塗料ポリウレタン
樹脂塗料素地調整 油分の付着は脱脂洗浄する。
付着性を確保するためにスイープブラスト処理を行う。
ブラスト処理が難しい、複雑形状の小部材は屋外で暴露し、白さびを除去した後塗装してもよい。表面に付着しているほこり、ゴミなどを清掃除去する。
油分の付着は脱脂洗浄する。
白さびは研掃たらしなどで除去し、赤錆発生部は電動工具でSIS St3に素地調整する。補修塗 - - 亜鉛めっき面用
エポキシ樹脂塗料亜鉛めっき面用
エポキシ樹脂塗料下塗 塩化ゴム系
塗料下塗亜鉛めっき面用
エポキシ樹脂塗料亜鉛めっき面用
エポキシ樹脂塗料亜鉛めっき面用
エポキシ樹脂塗料中塗 塩化ゴム系
塗料中塗ポリウレタン
樹脂塗料用中塗塩化ゴム系
塗料中塗ポリウレタン
樹脂塗料用中塗上塗 塩化ゴム系
塗料上塗ポリウレタン
樹脂塗料用中塗塩化ゴム系
塗料上塗ポリウレタン
樹脂塗料用中塗