FAQ

溶融亜鉛めっきFAQ

22.亜鉛めっき表面に発生する白さびとは?保管方法は?開く

白さびとは、白色または白色に一部淡褐色の斑点を伴う、かさばった亜鉛酸化物が亜鉛めっき表面に形成された状態で、外観は白墨の粉が付着している感じです。

めっき直後の金属光沢のある亜鉛めっき表面には、既に酸化皮膜の生成が始まっていますが、ごく薄い皮膜であるために肉眼では確認することが出来ず、また、光を透過させるため金属光沢を見ることが出来ます。このようなめっき製品が大気中で使用されますと、めっき表面に緻密な亜鉛酸化皮膜が厚く形成されて次第に光沢が失われ、めっき直後の明度(マンセル値)N7程度のものが、N6~N6.5程度の灰色に変化していきます。

光沢の経時変化

亜鉛めっきが優れた耐食性をもっているのは、この緻密な亜鉛酸化皮膜が大気や水分を遮断し、下地の亜鉛を保護するからです。「白さび」とは、このような緻密な保護性酸化皮膜のことではなく、溶融亜鉛めっき直後の比較的新しいめっき表面に見られる、チョークの粉のような白色粉末の嵩張った亜鉛の酸化物をいいます。

尚、JIS H 8641 (溶融亜鉛めっき) 6.めっきの品質 、6.1 外観では、「めっきの外観は、・・・中略・・・めっき表面に現れる耐食性にはほとんど影響のない、濃淡のくすみ(やけなど)及び湿気によるしみ(白さびなど)によって合否を判定してはならない。」となっています。

<発生原因>

「白さび」の発生には必ず水分と酸素が必要です。水分は雨水や海水飛沫のこともあり、結露の場合も多く見られます。「白さび」は、めっき面の一部が乾燥し一部が濡れている状態で、その境界線が長時間移動しないときに、境界線に隣接し濡れている側のめっき表面上に発生する場合に多くみられます。更に、乾湿の境界線が長時間かけて移動する場合、「白さび」の発生部は大きな面積をもつようになります。 尚、水中に長い間浸せきされた状態では白さびは発生しません。「白さび」は、酸化亜鉛(ZnO)や塩基性炭酸亜鉛(2ZnCO3・3Zn(OH)2・H2O)が主成分と考えられています。

<保管方法>

溶融亜鉛めっき製品は、下記①~⑦に示す内容に留意して保管すると、比較的「白さび」の発生を減少させることができます。

①通風の良い屋内に保管する。
②屋外保管の場合は、水はけの良い場所で地面と隙間を開け通風をよくする。
③部分的に雨溜りをつくらないよう工夫しておく。
④積重ねなど接触面の多いものは、雨中の荷役や運送を避ける。
⑤屋外保管の場合、雨天時はめっき製品に直接シートが接触しないようにして完全に覆い、晴天になったら速やかにシートを外す。
⑥酸、アルカリ、塩化ナトリウム、塩化カルシウムなどの化学物質の近くには置かない。
⑦海上輸送・岸壁保管等の場合は海水の飛沫がかからないようにする。

<経時変化の事例>

①は屋外保管5日後で、雨水により光沢の無い箇所が観察されますが、時間の経過と共にめっき表面に緻密な酸化皮膜が形成され、
②1か月後・③2か月後と徐々にその差が分からなくなり、明度N6~N6.5程度の灰色に変化しました。

<白さび発生品の処置>

「白さび」があまり進行していない発生初期の場合は、まず乾燥させて環境の改善を図ることが有効です。この改善された環境で保管すると、徐々に「白さび」発生部下層にも緻密で安定な保護皮膜が形成され、外見上、通常部との差が目立たなくなります。(写真参照)

長期にわたって「白さび」が発生し続け、めっき表面が更に腐食されている場合は、ワイヤーブラシ、サンドペーパーなどで軽く擦った後、ジンクリッチペイントによる補修塗装を行います。場合によっては再めっきが必要になることもあります。しかし、一般に雨や結露などにより発生したほとんどの「白さび」は、外観から受ける感じより亜鉛の減量は極わずかで、めっき膜厚にして1μm以下ですので、先に述べましたように製品としてそのまま使用しても耐用年数に問題を生じることはほとんどありません。