- 35.亜鉛めっきの耐食性を短時間で判定する方法は?開く
亜鉛めっきの耐食性は、種々の環境に5年~10年暴露した結果をもとに、その年間腐食減量から算出されます。しかし鋼構造物の設計に際して防錆仕様を決定するのに5年~10年かけるわけには行かない、もっと短期間で推定する促進試験方法はないのか、との疑問が寄せられる場合があります。
しかし亜鉛めっきに関しては、ある促進試験方法での1時間が実暴露の何年に相当する、という推定を可能にする試験方法は現時点では確立されていないといっていいでしょう。その理由は、亜鉛の防食機構が不動態皮膜によるものであり、自然環境における亜鉛の不動態皮膜の破壊と再生のメカニズムを促進しながら再現できる試験方法でなければ、相関性の高い判定ができないからです。
ステンレス鋼のような、不動態皮膜の再生が非常に早い金属についても、通常よく利用される塩水噴霧試験法では相関性が低く、耐候性の評価には不向きとされています。屋外環境をモデル化した上でのCCT試験法の適用が検討されている段階です。
塩水噴霧試験法は、比較的簡単な装置で腐食の進行状況を観察できるためよく利用されていますが、防錆機構の異なる表面処理法の順位付けに利用したり、この試験方法での1時間は大気暴露では何年分に相当する、といった判定には十分な根拠なしに適用すべきではない、というのが現在での考え方です。亜鉛めっきは大気中で生成する不動態皮膜によって表面を保護するものですが、塩水噴霧試験ではこの不動態皮膜を強制的に破壊して腐食を促進させるものなので、この点を十分に踏まえて結果の評価をしなければなりません。